2017年06月28日

空間の重心

某大手ハウスメーカーさんのTVCMで。

『天井の高い家は気持ちいいわね』

というのがありますね。


全否定はしませんが・・・(苦笑)

ただ・・・全体のバランスもなにもなく・・・ただただ・・・
にゅーーんと天井高を高くするのも、どうなんだろう?、と思っております(笑)
(にゅーーん、という表現しか思いつかず、申し訳ない 笑)



一般的に、おさまりがきれい。

そう思われる天井高は2m40cm。





しかし、あえて、ホールやサニタリーなど、
あえて天井高を低く抑えることも、これまでよくやってきました。


たとえば玄関ホールは天井高2m20cmに低く抑えて。

で、居間に入ると吹き抜けで、一気に5m以上の天井高にする、といった手法です。

これは視覚的にも、居間に入ると、ものすごい解放感を生むんです。

また、一方で、2m20cmの天井高がなんとも心地よかったりするのですよ。






これまでの作品のなかで。

全体的に天井高を2m35cm、あえて5cm低くする、という作品もいくつかつくりました。

これはこれで、なかなかにいい空間になります。

たとえば・・・長野市K邸(空間工房の作品から)






若干低めの天井で、目線の重心を下げ、窓や奥行きを感じる。

これが「空間の重心」という意味です。



これね・・・言葉で説明してもうまく伝わらないんですよ。




大手メーカーさんの・・・
「天井高が高くて解放感があって広く感じますよ」
キャンペーン告知が、一般国民にほぼ浸透しているだけに(笑)

余計に「空間の重心」の説明が難しい(笑)





考えてみてください。

家のなかではほぼ「座っています」
つまり、目線が下に下がるのです。
日本の住宅は靴を脱ぎますから、
床に座ってもいいのです。



重心が下がる、とはそういうことなのですが・・・

これは、体感してみないと、どうにも伝わらない・・・







今日、「暮らしの工房」(新潟県上越市)さんが設計された住宅を拝見してきました。

天井高が2m10cmなんです。

みごとでした。なんとも言えない落ち着きなのですよ。





これは・・・体感しないとわからないでしょうね。




改めて、空間の重心、の大切さを思い知りました。

そうなんです、全体のバランスと統一感。

これが大事なんですよね。




テキトーに窓を開けてはいけない。
むやみやたらに照明器具をつけてはいけない。
心地よく過ごせるよう、考えなきゃダメ。





これが、空間の重心、ということだと思います。



これを提唱されているのが・・・
今、日本でもっとも有名な建築家のひとりといっていいでしょう、

伊礼智 氏。


伊礼さんの作品は、ネットや書籍等々でも多く発信されておられます。

お薦めの書籍です↓
「伊礼智の小さな家70のレシピ」




よろしければお手にとって読んでみてください。

けっこう、目からウロコ、ですよ。









  


Posted by おかもと社長 at 18:33Comments(0)家づくり設計