2018年04月10日

三方一両損

火曜日は定休日ですので、建築以外の話題を(笑)



三方一両損、という噺、ごぞんじですか?
この落語噺は有名ですので、ごぞんじの方も多いでしょう。



いろんな噺家がやってますけど、僕は志ん朝師匠がすきです。





読者のなかにはあらすじを知らない若い人もいらっしゃるでしょうから。
あらすじをざっくり言いますと。


【三方一両損】

江戸っ子の左官職人・金太郎が財布を拾う。

財布には3両入っていて、「神田小柳町 大工 吉五郎」と書いてあったので。
金太郎は大工の吉五郎の家まで行って、財布を届けてやる。

すると、大工の吉五郎は『宵越しの銭は持たねえ』という江戸っ子職人気質で。

 金もなくなってすっきりしたところだ、
 落とした銭はもう俺のものじゃねえ、
 財布ンなかの3両はてめえが持って帰れ、

そう吉五郎が言うと。


左官屋の金太郎も言い返す、

 冗談じゃねえ、
 金を礼に恵んでもらいたくて届けにきたんじゃねえやい、
 バカにするな!そんな金はいらねえ!
 元はと言えばてめえの金じゃねえか、とっとと受け取りやがれ!!


大喧嘩になり、長屋の大家が仲裁に入り、その場は収まるが・・・
この件はお上に判断してもらおう、となる。



大岡越前のお奉行がこの話を聞いて。
奉行は次のように裁きをする。


 その3両、いったんお上が預かる。

 財布の金を着服しなかった金太郎はあっぱれであるから、
 2両褒美に授けよう。

 また財布を落とし拾ってくれた男に
 礼に3両くれてやるといった吉五郎もあっぱれ。
 よって吉五郎にも2両褒美に授けよう。

 お上は3両預かったが2人に2両づつ授けたので1両損。
 財布を拾った金太郎も3両もらえるはずが2両で1両損。
 3両の金を落とした吉五郎も2両しか返ってこず1両損。

 これ、三方一両損なり、と。





大岡裁き、っちゅうやつですよ、みな丸くおさまる。
世知辛い現代社会には、こういう噺こそ必要です、ほんと。

銭金に執着せず、さっぱりしていて、いい噺じゃないですか。
芝浜と並んで、これはじつに「日本人の心意気」を示したいい噺。


登場人物が、左官職人に大工、という設定もいい(笑)






















さて、今日の一曲。
鬼平犯科帳エンディング「インスピレイション」







今日も一日おつかれさまでした。


  


Posted by おかもと社長 at 18:00映画・TV・お笑い